TORINO

「塩の道」、エンツォのネビオロ、そしてイタリアンな残り物活用法

来年もよろしくお願いします、とか
今年もよろしくお願いします、と書こう書こうと思いつつ
あっという間に日は過ぎて、
あさってはもう2月。
世界的に寒気が来ているのか、
東京も雪らしいけど、
トリノも大雪で
明日やる予定だった料理教室は延期。

でも夕べは雪の中、
トリノにやってきた昔懐かしい人に会いに、
食事に出かけた。

トリノは、日曜日の夜はめぼしい店がみんな休みだから
Slow Foodの「オステリアガイド」を見て
見つけた「Via del Sale」という店に行ってみた。

その昔、海のないピエモンテ州と、
海に沿って細長い領地しかないために
牧畜業が発達できなかったリグーリア州が
(ピエモンテのお隣。ジェノバのある州ね)
それぞれの産物を物々交換していたという歴史がある。

海沿いの街からは、塩や、塩蔵の魚を。
山の村からはチーズや肉を。
バーニャ・カウダを筆頭に、
ピエモンテ州の伝統料理に
アンチョビが使われたものが多いのは
そんな歴史があるから。
で、その時使われた道が
Via del Sale=塩の道と呼ばれたそうで、
夕べ行ったオステリアの名前も
それから来ているというわけ。

だから料理も肉の煮込みやポレンタといった
ピエモンテの伝統料理と
スズキのオーブン焼き タジャスカ産オリーブとポテト添え、
みたいなリグーリアの代表的な料理、
そんなメニュー構成。

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ちょっと味が濃い目だったけど
アルベンガ産カルチョッフィ
(アルベンガはリグーリアの地名。カルチョッフィが名産)のパスタも
イノシシの煮込み ポレンタ添えも
なかなかおいしかった。
また行ってもいいかも。

一緒に行った人がお酒が飲めないということで、
グラスワインはありますか、と聞いたら、
ははーん、Enzo Bogliettiのネッビオーロ、
最後の一杯が残っていますよ、
Lei e' cosi fortunata!(ラッキーですね)と
言われ、いい気分。
このエンツォ・ボリエッティという生産者は、
最近のピエモンテワイン界注目の生産者。
そう、ネッビオーロがこれだけおいしいのなら、
次は彼のバローロ、飲んでみたいという気に
させられた。

そして今朝。
大雪のため娘の学校が
休校。お昼ごはんには
娘のリクエストで、おととい作った
アニョロッティのフライパン焼きをアンコール。

アニョロッティとはピエモンテの代表的な
詰め物入りパスタで、普通は茹でて
食べるものなのだが、
茹で過ぎて残ったものはチンして食べるよりも、
フライパンでカリカリに焼いて食べると
なかなかおいしい。
最後の仕上げに、水溶き片栗粉&チーズを
流しいれて、パリパリの皮ができるように
焼き上げると、これがうまいこと。
ちょうど、餃子を焼く要領でね。
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これ、実はイ・ボローニャの清ちゃんに
教わった業なのだけど、
残り物が立派な一皿に変身するという話でした。


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義援金ディナー終了

もう10日も経っちゃったけど、
4月14日に義援金ディナーが無事、
終了した。

なぜ10日も、「終了しました」と更新するのを
グズグズしていたかというと、
お金の計算が今だにできていないから。

終了しました、と報告するのと同時に、
いくらいくら義援金が集まりましたよ、と
応援してくれた関係者の方や、
気にしてくれていたみなさんに報告したかったんだけど、
会場を提供してくれたEATALY TORINOが今だに
経費などを計算中で、日本に送る予定の
義援金トータルが出ないからだ。

おかげさまで、当初100席のディナーのはずが
あっというまにソールドアウトになって、
ちょっと席を増やしたりして125人の方々が
60ユーロを払って食事に来てくれた。

最初の段階で、EATALYが食材やワイン、サービス担当、
広報などをすべて担当して、その経費は収益から
差し引くということだったので、
日本側スタッフみんなでがんばって、
知り合いに掛け合いまくった結果、
たくさんのワイン会社が食事中にサービスするワインと
オークションで売る用のワインを、
そして野菜、肉、小麦粉、グリッシーニの生産者の
みなさんが、それぞれの食材を提供してくださった。

サービススタッフもソムリエも、ピエモンテに住む日本人の
ソムリエさんたち、研修中のソムリエさんたち、
日本料理店に働くサービスの人たちが
活躍してくださった。もちろん無償で。

だから、60ユーロ×125の合計に限りなく近い金額を
日本に送れることを期待しているのだけど。
とても小さな金額には違いないけれど、
少しでも多いほうがいいに違いない。

それにしても、今まで20年以上、食のジャーナリストとして
多くの料理人の人たちに接してきたけれど、
自分も調理する側となって一緒に仕事をしたのは
初めての体験だった。
素人に毛が生えた程度の私を助けて
立派なデザートを作らせてくれた彼らの、
プロ、と呼ぶにふさわしい経験の力というものを
改めて間近に見て、かっこいいなあ、すごいなあ、と
感動した次第。

本当に皆さん、お疲れさまでした。
だけど復興にはまだまだ時間も
お金もかかる。これからもなにかを
続けていけたらと思っています。

前菜 5品盛り。
by Ristorante Kidoism城戸貴志さん
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手巻き風寿司4種
by Ristorante Wasabi藤本文範さん
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岩手名物じゃじゃ麺風タイヤリン
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サーモンの低温加熱 てりやきソース
by Locanada Canevari 鈴木秀人さん
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馬のほほ肉 和風煮込み
by Trattoria I Bologna 小林清一さん
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ずんだクリームのケーキとずんだ餅
by わたくし 宮本さやか
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ただしこのケーキは、構想も飾りつけも
みんながアイディアを出し、
指導し、手伝ってくださった賜でありました。

ほんとうに、みなさんどうもありがとう。

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LOCANDA CANEVARI 再び

優秀な日本人シェフ・鈴木秀人さんのご招待で、
再び「ロカンダ・カネーヴァリ」へ行ってきた。
この店の詳細は去年の10月に書いているので、
そっちも読んでね。

今回はジャーナリストや生産者など
食に関わる人を招待しての
夕食会で、意欲的なワイン生産者がやってきて
無名だけどめちゃめちゃおいしいワインを
8種類、そしてそれに負けない
極旨な料理をいただいた。

Locanda2_2   これはアンティパストの
「バカラ 外から中へ」。
表面はバカラ(塩ダラ)の皮を
乾燥させて粉末状にした物を、
コショウと合わせたもの。
まるでティラミスの表面を飾る
カカオのように。
そこへスプンを突き刺すと、
トローリとクリーム状にされたバカラ、
そしてその下にタラの
内臓が顔を出すという仕組み。

最近は、客を驚かす
ことばかりに執心して
味がおろそかになっている
料理が多い中、驚きあり、
しかもそれはおいしい驚きという、
これから始まる夕食に、ワクワク感を
持たせてくれる一品でありました。

こちらは古代小麦カムットのパスタを
ブロッコリーのクリームと
ニシン風味のバターであえ
去勢雄鶏の身のほぐした物を添えた一品。
Locanda1_2 ブロッコリーの
パスタというと
アンチョビとニンニク
風味というのが
一般的なところに
ひねりを2回転ほど
きかせた感じ。
写真ではみえないけれど、
ブロッコリーの
クリームのグリーンが
鮮やかだったこと。




おや? もうデザートか、と思いきや、
パスタの後に登場したのは、
鶏レバーのプリン、プドライルーンの
アイスクリーム添え。
Ocanda3 うーん、うまいっ!
ネットリと濃厚な
甘みと香りは
フォアグラ料理に
負けない貫禄。
グラスには
リナルディの
フレイザー2007年が
注がれたけど、
こりゃあ、
シャトーディケムでも
十分いけたのでは、
と思うほど。


肉料理は結構普通だったのだが、
最後のデザートでまた、まいった。
地元で採れるという名物桃のシロップ煮(自家製)を
添えた、ヘーゼルナッツたっぷりのセミフレッド。
Locanda4_2
歯ごたえを残した桃のシロップ漬けといい、
口溶けベスト温度のセミフレッドといい、
おかわりしたいね、と隣に座った
初対面のオジサンとうなずきあう私。

前回よりもかなりパワーアップしたこの店、
これはもう、ピエモンテの名店の
一軒と言っても恥ずかしくないと思う。
お近くにお越しの際は
皆さん、ぜひ行ってみてください。

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LOCANDA CANEVARI

「バーチ・ディ・ダーマ」発祥の地と言われる
ピエモンテ州トルトーナの近くにご飯を食べに行った。
6月にオープンしたばかりの
「ロカンダ・カネーヴァリ」という店。

ちなみに、バーチ・ディ・ダーマとは
「貴婦人のキス」という意味の、お菓子の名前。
ヘーゼルナッツの粉で焼いたドーム型の
小さなビスケットをチョコレートクリームで
二つくっつけてあるところから、その名前がある。
なんでも昔、サヴォイア王家に仕えていた菓子職人が、
さる貴婦人に恋してしまい、悶絶の結果
彼女に捧げようと発明したお菓子がこれなんだとか?

で、「ロカンダ・カネーヴァリ」。
イタリア食業界では、ここで働いてるんだぜ~、
といえば大変ハクのつく、いや、実力もつくであろう名店
「アンティカ・オステリア・デル・ポンテ」で働いていた
青年シェフ二人がオープンした店。
そのうちの一人が日本人シェフの鈴木秀人さんで、
ぜひ来てみてくださいと連絡があったので、
実はあまり期待しないで行ってみたのだ。
だいたい、来て来て~、という店に限って、
気張りすぎていたり、はずしていたりで、
よかった例はあまりない。

ところが。ここはいい。

もともとロンバルディア州出身のシェフ、
ダニエレさんと鈴木さんの料理は、
このところずっとイタリアで大勢を占めていた
「郷土料理」という型をぶち破っている。
だからといって大抵の料理人がやりたがる、
得体のしれないクリエイティブ料理でもない。
じゃあ、どんな料理なのさ、というと、
昔からイタリアにあるベーシックな料理を、
近隣のおいしい物を使って再現した、そんな感じ。
たとえば前妻、じゃないや、前菜として出された
「カタツムリとフンギポルチーニのスープ」は
地元で取れた新鮮でプリプリのフンギと
カタムツムリの名産地として知られる
ピエモンテ州ケラスコから届く歯ごたえと香り抜群の
かたつむり君が入っている。ただそれだけ。
それだけだけどちゃんと素材の魅力を
生かしてあるところがプロの仕事だ。
最近は「どこどこ産のなになに」なんて力んでいる
料理人も素人もいっぱいいるけど、
そのおいしさをちゃんと生かしている人は
そんなにいないと思う。

Cane1 これは外はカリッ、
中は生、だけど
冷たくないという絶妙な
火加減の帆立て貝。
ポルチーニ入りパイが
添えてある。

最近、料理人が
必要以上にチヤホヤされて、
腕組みをして威張っているスターシェフたちがわんさかで
うんざりしていたのだけど、
まずは食材ありきと頑張っている彼らの仕事ぶりは
ちょっと魅力的だ。

セコンドにいただいた鳩の肉は、
イタリア全国でたった7軒のレストランでしか扱っていない、
逸品の鳩をトスカーナはサンテというところから
Cane2 取り寄せているんだって。
それをチューっと
フライパンで焼き

地元で採れるリンゴの
ピュレと、
内臓で作ったソースと
絡めて食べる、
あ、書いていたら涎が。
とにかく
パワーのある一皿。
食べた後も
ずっと心に残るような、
そういう味でした。

こんな料理に、地元の、
知られざるすごいワインを
合わせてくれる
凄腕のソムリエもいる。
ピエモンテと言えばバローロ、バルバレスコ、
バルベラといったランゲ勢が有名だけど、
昨日いただいた白Timorassoという白も、
Croatinaという赤も、え? ちょっとこれ、すごいね、
というおいしさ。
これがまた、料理にぴたりと合うという、
料理人の仕事をよく理解して
愛情を持って仕事をしているサービスのプロだ。

トリノからは車で1時間半かかるけれど、行く価値は大の大。
ワインもたっぷり飲みたいから、
できれば上に併設されている部屋を取るのがベスト。
100ユーロで素敵なスイートに泊まれます。

あら、今日はなんだか、フードライターのような(!)記事でした。

Locanda Canevari

via De Antoni,32  Volpedo
Alessandria, Italy
www.locandacanevari.it

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汚い話ですいません

イタリアでは、街のいたるところに犬のウ○コが落ちている。
その多さにも驚かされるが、もっと驚くのは
それをふんづけてしまう人があまりにも多い、ってことだ。
私なんか、今年でイタリア暮しも13年になるけれど、
ふんづけてしまったのは一回きりだ。あれ、二回だったかな。
とにかく、イタリア暮しもエキスパートの域に突入した私は、
道を歩くときはまず、うつむいて歩かなくても済むように、
かなり前方までの路上を確認してから歩を進めるようにしている。

ウィンドーショッピングなんかする時には、
100メートルほどごとに路上に「危険物」が落ちていないか確認し、
それからウィンドーに見入るようにしている。
だから神経はけっこう張り詰めている。

たった13年のイタリア経験の私でさえこうなのに、
生まれた時からイタリアに住んでいるイタリア人たちは、
毎日のように踏みまくっている。
なんでそんなことがわかるのかというと、形をとどめたそれよりも、
むしろ踏んでしまった人が残していった「それ」付きの足跡や、
歩道の縁石の角かなんかでこすり取ろうとした形跡が
街のいたるところにあるからだ。

040_2 6月2日はイタリアの祭日で、
トリノの中心街では歴史的な
装束を着た人たちのパレードがあった。
各時代の兵隊さん、貴族、庶民に扮
した人々が延々と街道を歩く。
衣装も立派、着ている人たちも様になっていて、
映画のように美しかった。
そのパレードが行ってしまった後、
歩行者天国のその道を歩いて
家に戻る途中に「それ」を発見。

「それ」は誰かがふんづけて、広い範囲にのばし、引きずられた感じ。
ああ、食事中の人がいたらすいません
しかしまさか! あの美しい貴婦人達のドレスで!!!

そんなことを考えながら歩いていたら、
新しくオープンしたジェラート屋の前に到着。
今、日本でも大々的に売り出し中のチョコレートメーカー
Venchi」の直営ジェラート店だ。

066_5 英語に慣れた日本人は「ベンチ」と読むかも
しれなけれど、
これはベンキと読みます、
そう、便器、あ、これは変換ミスです、
ベンキです、ベンキ。チョコレートフレーバーだけで
何種類もあったり、高品質のカカオを使ってあったりと、
なかなかおいしいジェラートなのだけど、
名前がやっぱりまずいよね、
しかも商品がチョコレートだもん。

路上の「危険物」落としっぱなしは、
先進国の仲間としてやっぱまずいよね、
ということで重い腰をようやくあげたイタリア政府、
このほど、落としっぱなしにした犬の飼い主には50ユーロの罰金が
科せられるようになった。

これでイタリアの道も、
ぼーっと上を向いて歩けるようになるかなあ。

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モダーン&クリエイティブなバーニャ・カウダ

先日、日本の某お惣菜&サラダショップ大チェーンの社長を、

EATALY TORINO」へご案内した。

トリノの本店は、あまり調子のよくないらしい東京・代官山店とは違って、

この大不況もどこ吹く風、前年比20ポイントアップという

絶好調が続いているそうだ。

そんな話をしてくれたのは、社長の御曹司

フランチェスコ氏若干29歳。彼と一緒に、

地下にあるレストラン「Guido per Eataly」にてランチをいただく。

ここはピエモンテの名店「Guido」の支店みたいなもので、

「スーパーマーケットの中にミシュラン一つ星レストランがあるのは

うちだけ」と自慢げなフランチェスコ氏。

なんと、バーニャ・カウダのこんなバージョンが。

例のアンチョビ入りにんにくドロドロソースが、

各種野菜のピュレと層になってグラスに入っている。

こちらはにんにくも少なめで、現代風ライトな味わい。

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